内見チェックリスト付き!
プロが教える物件の見方【中古戸建て編】

「このマンション、綺麗だし駅からも近い。もう決めちゃっていいかも!」
そんなふうにテンションが上がる内見ですが、実際に住んでみてから“思っていたのと違う…”と後悔する方も少なくありません。とくに中古マンションでは、見た目の綺麗さや価格だけで判断してしまうと、後から思わぬ問題に直面することも。
この記事では、不動産のプロの視点から、中古マンションの内見で見逃してはいけないチェックポイントを丁寧にご紹介します。
リフォーム済みの物件や築浅物件でも、なぜ売却されたのかといった“背景”の確認も大切です。
記事の最後には、実際の内見時に使える**チェックリスト**もご用意していますので、ぜひご活用ください!
共用部分は管理の良し悪しが出やすい場所
中古マンションの価値は、専有部分だけでなく、共用部分の管理状態によっても大きく左右されます。エントランスやゴミ置き場、廊下といった共有スペースは、日々の生活に密接に関わる場所。管理が行き届いているかどうかで、そのマンションに住んでいる方々の意識や、管理会社の対応力まで見えてきます。
たとえば、エントランスに掲示板があり、情報がきちんと更新されているかどうか。掲示がぐちゃぐちゃで、私物が共用部に放置されているような物件は、住民マナーや管理の甘さが心配されます。
また、ゴミ置き場が整理されていて臭いもなく、ルールがきちんと守られていれば、管理組合が機能している証拠でもあります。
防犯面では、オートロックや防犯カメラの設置状況も重要です。とくにエレベーターや駐輪場など、死角になりやすい場所にカメラがあるかどうかを確認しましょう。
駐車場・駐輪場については、単に「ある」かどうかではなく、「使いやすいか」「空きがあるか」「利用ルールは厳しすぎないか」もチェックしたいところです。マンションによっては、来客用駐車場やバイク置き場の有無も暮らしやすさに関わってきます。

専有部分(室内)のチェックポイント
内見でまず目に入るのが室内の内装。リフォーム済みの物件なら、きれいな壁紙やフローリングに好印象を持つことも多いでしょう。ですが、“きれいに見えても内部に不具合が隠れていることもある”のが中古物件の難しいところです。
たとえば、壁紙が新しくても、その奥に結露やカビ跡が隠れていることがあります。窓周りや天井の角、押し入れの中など、普段目が届きにくい部分も覗いてみてください。天井にシミがある場合は、過去の雨漏りの痕跡かもしれません。
床も要チェックです。実際に歩いてみて、ギシギシと音が鳴る、傾いている感じがするなどの違和感がないかを確認しましょう。こうした兆候は、見た目ではわかりません。
水回りでは、シンク下や洗面台の下を開けて、カビ臭さや水漏れ跡がないかを確認します。また、水を実際に流してみて、水圧や流れ具合を確認するとより安心です。築年数が古い物件では、配管が古くて詰まりやすくなっているケースもあります。
日当たりや風通しも重要なポイントです。カタログや図面には「南向き」「日当たり良好」と書いてあっても、隣の建物の影で実際は昼でも暗いということもあります。現地で実際に光の入り方を体感し、風が抜けるかどうかも肌で感じましょう。
収納は「全居室収納あり」と書かれていても、実際に扉を開けて中の広さを確かめることが大切です。収納の奥行きが浅かったり、棚の高さが合わなかったりすると、結局は収納として使いづらいこともあります。
また、バルコニーも実際に出てみることでわかることがたくさんあります。洗濯物を干すには十分な広さか?お隣との仕切りは目隠しになっているか?眺望はどうか?住まいの快適さを大きく左右する部分なので、見落としなくチェックしておきましょう。

管理状況と費用は長く住むための重要項目
マンションの魅力の一つは「管理の手厚さ」ですが、それがしっかり機能しているかどうかは物件によって大きく異なります。管理状態が悪ければ、資産価値の下落や、将来的な修繕費用の負担増につながる可能性もあります。
まず確認したいのが「管理費」と「修繕積立金」の金額です。
国土交通省の2021年度調査によると、
管理費の全国平均は月11,503円/戸(㎡単価約158.6円)、
修繕積立金の全国平均は月13,378円/戸(㎡単価約181.9円)
とされています(出典:国土交通省「令和5年度マンション総合調査」)。
これらを大きく下回る、たとえば
- 修繕積立金が月額5,000円以下
- 管理費が月額3,000円前後
といった場合は、「なぜそんなに安いのか?」を疑ってみる必要があります。
長期修繕計画が未策定だったり、将来的に一括徴収が発生する可能性があるからです。
一方で、相場より極端に高い場合も注意が必要です。管理会社の委託費が割高だったり、住民の合意形成がうまくいっていない可能性もあります。金額だけでなく、何に使われているのか、修繕履歴や今後の計画と合わせて確認することが重要です。
あわせて、「長期修繕計画」が立てられているかどうかも確認しましょう。これは、外壁や配管、屋上防水など、将来的にどんな修繕をいつ行う予定かを記した設計図のようなものです。将来を見据えた安心材料として、非常に重要な資料です。
管理会社の質も、快適な暮らしに直結します。常駐管理か、巡回管理か。日常清掃の頻度や、掲示板の情報が更新されているかなどをチェックすれば、ある程度のレベルがわかります。
また、「これまでにどんな修繕をしてきたか」「今後、どんな工事が予定されているか」も確認ポイント。
大規模修繕の直前に購入すると、一時金や管理費値上げの可能性もあります。不動産会社を通じて、管理組合から資料を見せてもらえる場合は、積極的にチェックしましょう。

周辺環境や住み心地もチェック
マンションの室内や共用部がいくら気に入っても、「外に出た瞬間にガッカリ」なんてこともあります。住み心地を左右するのは“周辺環境”です。
まずは、駅やスーパー、学校、病院などの生活施設がどれくらい近いかを確認しましょう。「徒歩◯分」という表記だけでなく、実際に歩いてみて、道の傾斜や夜の明るさ、歩きやすさなどを肌で感じてみることをおすすめします。
また、周辺の建物との距離も重要です。ベランダから隣のマンションの廊下が丸見え、というような視線問題があると、暮らしてからストレスになります。バルコニーや窓の外に何が見えるか、立って確認してみましょう。
さらに、現地で気にならなくても、時間帯によって騒音が激しくなる場所もあります。たとえば、通勤時間に車通りが多くなる道路沿いや、夜になると若者が集まる公園のそばなどです。一度の内見では分からないことも多いので、時間帯を変えて訪問するのもおすすめです。

売主の事情も確認しておこう【トラブル回避ポイント】
中古マンションは、以前に誰かが住んでいた「履歴のある家」です。そのため、売主がどんな理由で売却しようとしているのかを確認することも、安心して購入するためには欠かせません。
たとえば、築浅で室内がきれいなのに売りに出ている物件があったとします。これは、「転勤」や「家族構成の変化(子どもが独立した、など)」といったポジティブな理由であれば問題ないことが多いですが、中には「近隣住民とのトラブル」「住みにくさを感じていた」など、聞いておかないと見えてこない理由もあります。
また、「心理的瑕疵(かし)」と呼ばれる、事件や事故、または嫌悪施設の近接など、不動産会社に告知義務がある事象があったかどうかも必ず確認を。
⇒ 出典:不動産流通推進センター「告知義務に関するQ&A」
物件がきれいだからといって、安易に飛びつかず、「なぜ売りに出されたのか」という背景まで知っておくと安心です。不動産会社に遠慮せず、しっかり聞いておきましょう。

【無料配布】チェックリストで見落とし防止!
ここまでお伝えした内容を、「見るだけで確認できる」チェックリストにまとめました。
内見時に印刷して持参し、気になるところはその場でメモできるようになっています。
チェック項目 | 確認内容 | 問題のサイン | 備考 |
---|---|---|---|
共用部の清掃状況 | エントランスや廊下は清潔か | ゴミ・私物放置、蜘蛛の巣など | 管理の質・住民マナーが反映される |
ゴミ置き場 | 臭い、分別ルール、整理状態 | 荒れた状態、ルール違反 | 管理組合の運営がうまくいっているか |
防犯設備 | オートロック・防犯カメラの設置場所 | カメラなし、故障表示あり | 死角にカメラがない場合も注意 |
駐輪場・駐車場 | 空き状況・使いやすさ | 錆び・雑然とした印象 | 使用ルールや費用も確認を |
壁・天井の状態 | シミ、クロスの浮き、カビ臭 | 天井のシミ、剥がれ | 雨漏り・湿気の可能性 |
床の状態 | 傾き・きしみ・浮き | 歩くと沈む、音が鳴る | 修繕歴の確認が必要な場合も |
水回り(キッチン・浴室・トイレ) | 劣化具合、カビ、臭い | 水圧が弱い、カビ臭い | シンク下・排水口も確認 |
収納 | 広さ・奥行き・使いやすさ | 狭い、浅い、開閉が困難 | 家具の収納プランに影響 |
バルコニー | 広さ、視線、物干しのしやすさ | 隣接住戸から丸見え | 布団干し可能かも確認 |
日当たり・風通し | 実際の採光と風の流れ | 昼でも薄暗い、風通しが悪い | 天候・方角だけで判断しない |
周辺環境 | 騒音・臭い・高低差 | 騒がしい・坂がきつい | 時間帯や曜日を変えて確認 |
修繕積立金・管理費 | 相場との比較 | 極端に安い/高い金額 | 適正か?使途と積立状況を確認 |
長期修繕計画 | 立案・更新の有無 | 計画なし・古い内容 | 管理組合の説明を求める |
管理会社の質 | 管理人の対応・清掃頻度 | 不在・放置感あり | 常駐か巡回かも確認 |
売却理由 | 売主の転居理由 | 「特にない」「曖昧な説明」 | 環境や人間関係トラブルの可能性も |
トラブル履歴 | 過去の事故・瑕疵の有無 | 情報が出てこない・回答が曖昧 | 告知書・重要事項説明で確認 |
おわりに
マンションの購入は、人生の中でも大きな買い物。だからこそ、内見では「表面的なきれいさ」に惑わされず、建物の管理状態、周辺環境、そして売主の事情まで、総合的に見て判断することが大切です。
船場ホームでは、地域密着の不動産会社として、中古マンション購入における細かな不安や疑問も丁寧にサポートしています。
「ちょっと見てみたいだけなんですが…」というご相談も大歓迎です。
気になる物件があれば、ぜひお気軽にお問い合わせください!
なお、中古戸建ての内見方法が気になる方は、こちらの記事もおすすめです:

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この記事を書いた人
奥田 貫太(おくだ かんた)|船場ホーム 代表
宅建業界に携わって10年以上。現在は船場ホームの代表として、住まい選びと住宅ローンのご相談を中心に、お客様の暮らしに寄り添うサポートを行っています。
とくに住宅ローンの仕組みや金利の選び方には詳しく、将来を見据えた無理のない資金計画づくりを得意としています。
趣味はサッカーと映画鑑賞。「住宅ローン、なんとなく選んでいいのかな…?」そんな不安があれば、どうぞお気軽にご相談ください。